時計

2013年3月4日 at 3:17 AM

現行ロンジンってどうよ?|ロンジンの歴史とともに現行ロンジンの評価を見直してみる

2005/1/12 2ch ロンジンってどうなの?

 

過去の栄光ということだけで正当な評価がされにくい現行ロンジン。
日本で最初に機械式のポケット式時計を手にしたのは西郷さんでした。その時計はもちろんロンジン。

ロンジンの歴史を、クォーツショック後も含めて考え直していこうと思います。

 



一貫生産を採用し、大メーカーへと成長

創業は1832年。オーギュスト・アガシ(Auguste Agassiz)が、サンティミエの時計部品会社に入社したことに始まります。彼は程なく「アガシ商会(Agassiz & compagni)」の商号を掲げて会社の経営に乗り出しますが、1850年代半ばに彼の甥であるアーネスト・フランシロン(Ernest Francillon)が経営を引き継ぎ、時計製造システムの改革が始まります。当時一般的だったのは時計職人が企業から部品供給を受け、それを自宅で組み立てる方式。だがフランシロンは時計製造の全工程を集約した工場を建設し、そこに職人を集めて一貫生産を行うシステムを考案します。

 

その実現のため、彼は1866年、街の南を流れるスーズ(Suze)川右岸の「レ・ロンジン(Les Longines)」と呼ばれる場所に土地を購入し工場を建設。やがて、その土地の名を社名としたロンジンは、1911年には1100人以上もの従業員を擁し、世界を市場とする大メーカーへ成長を遂げます。

 

優れたクロノグラフの生産

この製造システムの変革はロンジンに近代的で高度な技術を蓄積する原動力となり、1878年にその賜物として、計時機能を備えるクロノグラフが誕生します。

 

この時ロンジンが作った懐中時計クロノグラフには、計時機構制御にコラムホイールが採用されました。コラムホイールとは数本の柱(コラム)を立てた特殊な歯車(ホイール)のこと。作動ボタン(当初はリューズと一体)を押すとコラムホイールが回転し、これに噛み合うレバーを動かしてクロノグラフ機構への動力伝達や遮断、リセットを行う重要部品です。

 

ロンジンではこのコラムホイールを、初期の懐中時計クロノグラフから、1940年代の傑作リストクロノグラフのCal.L30CHに至る、全モデルで採用しています。

 

Cal.13ZN

フライバック機構を世界で始めて腕時計に採用したのがロンジンのCal.13ZNでした。フライバック(Flyback)機構とは、通常のクロノグラフは2時位置ボタンでスタート・ストップし4時位置ボタンでリセットしますが、スタート状態ではリセットボタンは押せません。ところがフライバックは、スタート状態でリセットボタンを押すと瞬時に帰零し、ボタンを放した瞬間に再度スタートするという機構です。

ロンジン_13ZN01

 

ロンジン_13ZN02

フライバックはもともとは、空軍パイロットのために開発されたもので、パイロットの方向転換ごとの飛行時間や着陸待ちの旋回時間の計測などを、素早く繰り返すことを目的にしたものでした。

 

通常のクロノグラフよりもムーブメントの構造が複雑ですので不具合も出やすい機構ですが、
大変よく出来た設計でパーツの耐久性も高い為、現在でもしっかりと機能することが多いです。

Cal.30CH

1947年に開発されたCal.30CHには、さらに機械式時計の心臓部であるテンプに優れた「耐震装置」が備えられています。耐震装置(shock absorber)とは、非常に細い天真(テンプの芯、balance staff)が、衝撃によって折れないように、天真を支えているルビーの「穴石」と「受け石」にバネ性を与えて天真折れを防ぐ機構です。

ロンジン_30CH01

 

ロンジン_30CH02

この機構により天真折れが飛躍的に減りました。現行品の機械式時計に今でも採用されていて、メーカーによって形状や名称は様々です。

 

この耐震装置が、Cal.30CHでは、より繊細で高度な構造になっています。受け石にバネ性を持たせることで、垂直方向の衝撃をやわらげています。また穴石のバネ性は水平方向の衝撃をやわらげます。受け石と穴石は、ムーブメントの裏側にもほぼ同じものがあり、それぞれ(計4箇所)にバネ性を持たすことで、あらゆる方向からの衝撃を緩和しています。

 

ウィームス・ナヴィゲーション・ウォッチ

ロンジンは軍用時計も数多く生産し、特に第二次世界大戦期のイギリスには2番目に多く時計を納入したブランドでもあります。アメリカ海軍のフィリップ・ヴァン・ホーン・ウィームス(Philip Van Horn Weems)大佐の発案で1927年に開発されたウィームスは1929年に製造されています。

 

現在では一般的なハック機能(時計の秒針を一時停止させての時間合わせ)は、当時の技術では難しかったため、この製品では秒針ではなく秒表示の記載されたベゼルを回してロックすることにより、秒単位まで時間を合わせることができるよう考慮されています。

ロンジン_ウィームス

「ウィームス」。ロンジンの手巻きムーヴメントの中で最も代表的なセンターセコンド仕様のモデルCal.10.68Nを搭載。一度オリジナルを忠実に再現した復刻版が2000本限定で発売されたが人気が出ず名前だけ残したモデルが売られることになる。

 

作動カムの登場

1950~60年代、簡素な構造の「作動カム」が登場し、複雑で製造が難しいコラムホイールに代わり普及します。コラムホイールには操作感がソフトで作動が確実という利点が多いことから、1990年代以降の高級機械式時計復興期以後に、再度見直されることになります。

 

クォーツショックの到来

ロンジンも1969年にクォーツの開発を発表。1971年にクォーツの発売を開始しています。そしてクォーツショックによりロンジンの経営状態は悪化。自社の機械式時計製造ラインを一時全廃し、以降一定期間クォーツ時計生産のみに絞ることになります。

 

そしてスウォッチグループに吸収され、以降オメガとハミルトンの間に位置する中堅ブランドとして生き残ることとなります。

この段階でロンジンは従前まで蓄積していた機械式時計の技術面でのノウハウ・工作機械のほぼ全てを失うこととなります。

 

しかし、ロンジンの優れた技術・スピリッツは意外にもセイコーに引き継がれます。

 

スイスのニューシャテル天文台では定例的に時計コンクールが開かれていました。コンクールでは容積200CC以下、1500CC以下、7500CC以下というように柔道やボクシングで体重でクラスがわかれるように容積によって分けられる部門がありました。

 

当時ロンジンの代理店だったセイコーは、精度世界1を誇ったオメガに対抗するためクロノメーター優秀級のロンジンを分解、調査します。 そしてセイコーは自信を深めハイビートに移行。当コンクール出品を決意します。61年には7500CC以下の部門でパテックとエボーシュが水晶時計を出品。63年にはセイコー(諏訪)も1500CC以下部門で小型化した可搬型水晶時計クリスタルクロノメーター951をもって10位に入賞しています。(1〜3位はエボーシュ、4〜9位はパテック)。

 

そしてセイコーは64年には200CC以下の部門で952を出品して2位〜7位を独占します。それでも1位はロンジンでした。
日本がコンクールの上位を独占してしまうと、以降コンクールの成績発表は中止されてしまいます。そしてセイコーは69年12月25日にクォーツ時計の発表を行っています。

 

L990

1977年に発表した、3針、ツインバレル機構のムーブメント。高精度ながら薄型を実現した名器ですが、1990年前後にロンジンがレマニアに売却。その後運命的に、レマニアとロンジンは、同じスォッチグループ傘下におさまり、L990+ロンジンの時計が再度実現しています。
なお、L990+ロンジンの組み合わせの時計は限定モデルが多く、一般モデルでは提供されていません。

lindberg

初期の復刻版リンドバーク・アワーアングル。Cal.L.989.2。L.990の改造版。アワーアングルは機能上リューズ一段引きでダイヤル内の小ダイヤルが回るのでそのあたりの変更の模様。背部外観はL.990と同じ。この機械はロンジンによる最後の自動巻キャリバーで、2つの香箱をもついわゆるツインバレルのユニークなムー ブメントです。そして1990年前後にロンジンがレマニアにこのキャリバーを売却すると、レマニアはこれをCal.8810として採用します。

 

バルジュー7750を搭載して復活

1983年にSMHグループ(現・スウォッチ グループ)が誕生した際、ロンジンはグループ企業であるETAのムーブメントの採用を決定します。
その結果、安価な価格で安定した性能の時計をリリースできる体制創りに成功し、市場において競争力を取り戻します。

 

その後高級時計復興の波が訪れます。そのときロンジンがとった戦略として、少しでもマニュファクチュールに近づこうとETAとのムーブメント共同開発が行われます。そうして2007年に「マスターコレクション レトログラード」が完成。さらに2009年には、ETA/バルジューのCal.7750をベースにCal.688が完成します。あのコラムホイールを搭載し、なめらかで堅実な操作感を実現する新たな傑作ムーブメントの誕生の瞬間を迎えます。

ロンジン_コラムホイール

 

ロンジン_コラムホイール02

Ref.L2.742.4.76.2 。「ロンジン コラムホイール クロノグラフ(Longines Column-Wheel Chronograph)」には、1940~50年代にロンジンが製作したコラムホイール搭載クロノグラフに採用されたさまざまな意匠が導入されている。このような歴史を感じさせる意匠に加え、特に1930~50年代には滅多に製造されなかったブラック・フェイスのモデルや当時高嶺の花だった無垢モデルが定価百万円以下で入手できるのも強み。

 

ロンジン_コラムホイール03

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